先に結論を書きます。
個人名・お客さまの情報・社外秘の数字は、AIに入れない。
「スタッフA」「店舗A」「売上の列」のように置き換えれば、AIの答えの質はほとんど変わりません。
AIに必要なのは、仕事の「形」です。だれの名前か、いくら売れたかといった「中身」がなくても、AIはきちんと手伝ってくれます。このあと、入れてはいけないものと、置き換え方を順番に紹介します。
なぜ、そのまま入れてはいけないのか
ChatGPTやGeminiなどに入力した内容は、そのAIを運営している会社のコンピューターに送られます。ここで気をつけたいのが、次の2つです。
- AIの改善(学習)に使われることがある:多くのAIサービスには、入力した内容をAIの改善に使うかどうかの設定があります。使う設定のままだと、入れた内容が運営会社の側で使われる可能性があります。
- 会社の決まりに反することがある:お客さまの情報や社外秘の数字を外部のサービスに入れることを、会社の決まりで禁止している場合があります。悪気がなくても、決まり違反になってしまいます。
国の個人情報保護委員会も、生成AIに個人情報を入れるときは、目的に必要な範囲か、AIの改善に使われないかを十分に確かめるよう、注意を呼びかけています(個人情報保護委員会の注意喚起)。
いちばん確実なのは、はじめから入れないことです。入れなければ、設定や決まりを気にする必要もありません。
入れてはいけないもの
| 種類 | 例 | 置き換え方の例 |
|---|---|---|
| 人の名前 | スタッフ、お客さま、取引先の担当者の名前 | スタッフA、お客さまB、取引先の担当者 |
| 連絡先 | 電話番号、メールアドレス、住所 | (電話番号)、(メールアドレス) |
| お客さまの情報 | 注文番号、会員番号、購入の履歴、問い合わせの本文 | 注文番号123、要点だけを自分の言葉で書く |
| 社外秘の数字 | 売上、利益、仕入れ値、人件費 | 見出しだけ伝える(「売上の列」)、ありえない数字に変える |
| 会社や店の名前 | 会社名、店舗名、社内の部署名 | A社、店舗A・店舗B、○○課 |
| 社内のURLや情報 | 共有フォルダやスプレッドシートのURL、社内システムの画面 | 入れない。必要なら「売上のシート」のように説明する |
迷ったら、「この文章が、そのまま社外の人に見られても大丈夫か」で考えるとわかりやすくなります。
置き換え方の、悪い例と良い例
たとえば、お客さまからの問い合わせメールへの返事を、AIに考えてもらうとします。
次のメールへの返事を書いてください。 山田花子様(会員番号 0012345、電話 090-XXXX-XXXX)より: 10月3日に○○店で購入した商品が初期不良でした。 交換してほしいです。
名前、会員番号、電話番号、店舗名、購入日まで、そのまま入っています。返事を書くために、これらはどれも必要ありません。
お客さまからの問い合わせメールへの返事を書いてください。 # 問い合わせの内容(要点) - 店舗で購入した商品が、初期不良だった - 交換を希望している # 条件 - お客さまの名前は「(お客さまの名前)」と書いておく(あとで自分で入れる) - おわびと、交換の手順(店舗に持ってきてもらう)を入れる - ていねいに、200字くらいで 足りない情報があれば、書く前に質問してください。
問い合わせの要点だけを自分の言葉で書き、名前は「(お客さまの名前)」としておきます。AIの返事ができたら、最後に自分で名前を入れれば完成です。返事の質は、悪い例とほとんど変わりません。
表のデータは「見出し」だけで十分
スプレッドシートの集計を手伝ってもらうときや、GAS(ガス:Googleのサービスを自動で動かす仕組み)のコードを書いてもらうときも、考え方は同じです。
AIに必要なのは、「どの列に、何が入っているか」という表の形だけです。実際の売上の数字や、お客さまの一覧を貼る必要はありません。
# 元の表の形 - シート名:売上 - 見出し(左の列から順に):日付、店舗名、商品名、金額 - 見出しの行:1行目
試しに動かすときは、本物のファイルをコピーした「テスト用のシート」を作り、名前や数字をありえないものに変えておくと安心です。
使う前に、確かめておきたいこと
- 会社のAIの利用ルール:使ってよいAI、入れてはいけない情報が決まっていないか。会社が契約しているAIがあれば、そちらを使います。
- AIの改善に使う設定:使っているAIの設定画面で、入力した内容をAIの改善に使うかどうかを確かめ、必要ならオフにします。
- それでも、入れない:設定をオフにしても、個人名や社外秘の数字は入れない習慣にしておくと、うっかりを防げます。
わたしの場合
このサイトのコラムに載せている画面の写真も、会社のファイルではなく、テスト用に作ったシートで撮っています。店舗名やスタッフの名前、メールアドレスが写らないようにするためです。
AIに頼むときも、考え方は同じです。「画面の写真に写さないものは、AIにも入れない」。そう決めておくと、何を置き換えればいいかで迷わずに済みます。最初に少しだけ気をつけるだけで、安心してAIに手伝ってもらえます。
たのみかたナビは、入力した内容を外に送りません
たのみかたナビで指示文を作るときに入力した内容は、あなたのブラウザの中だけで処理され、外部には送られません。運営者が見ることも、保存することもありません。インターネットを切っても(機内モードでも)、指示文を作れます。
AIに渡るのは、できあがった指示文を、あなたが「ChatGPTで開く」などのボタンで渡したときだけです。表の形は「見出し」を書くだけなので、実際のデータを入れる必要もありません。
指示文の入力欄でも、個人名・お客さまの情報・社外秘の数字は「店舗A」「売上の列」のように置き換えてください。AIに渡したあとは、そのAIの決まりに従って扱われます。
AIへの頼み方そのものが初めての方は、「そもそも「プロンプト」ってなに?」もあわせてどうぞ。
まとめ
- 個人名・連絡先・お客さまの情報・社外秘の数字・社内のURLは、AIに入れない
- 「スタッフA」「店舗A」「売上の列」のように置き換えても、AIの答えの質はほとんど変わらない
- 表は「見出し」だけ伝えれば十分。試すときはテスト用のシートで
- 会社のルールと、AIの改善に使う設定を、使う前に確かめる